Snap Shot 17

東海道新幹線品川駅開業の日に、東京で取材がありました。
日程に余裕があれば、4日の中平卓馬展の開幕までそのまま残りたかったのですが、そうは問屋が下ろしません。
そう!いよいよ中平卓馬「原点復帰ー横浜」が始まりました。
なるべく早い内に見に行けるようにと願っています。

「私、今日、素朴な写真家にまいもどりました。
だが、私、素朴な写真家にまいもどったとしても、新たに現実世界に出会った時には、自意識が解体され、自らの意識を新たに造り上げねばならぬ行為そのものが、無限に課せられて来る。それは、ある意味において、写真家である私のさだめであろう。」
「私、自ら造り上げてきた写真に関する美意識を拠点として、撮影し続けているので在るが、突如、自らの意識を乗り越えた、全く新たなる対象そのものと出合った時、その瞬間から撮影し始めているのです。自らの意識を乗り越えた、と言うことは、世界に関して確立していた意識を、ただ単に展開、展示してゆくことでは、決して無く、世界そのものの持つ力を、自ら率先して引き受けて行くことが、他ならぬ写真家で在る私の基本点なのだ。」

これは、1989年に出版された「復活」後の第2写真集『ADIEU A X』(アデュー・ア・エックス)のあとがき、「撮影行為の自己変革に関して」という中平卓馬自身の文章です。
この写真集を見た時、あの中平卓馬が復活した!と確信しました。
まだ、辿々しい感じは残りますが、第1写真集『新たなる凝視』にはなかった、彼の意識の復活が分かります。
森山大道や中平卓馬が、ただのブームで終わらないように願うとともに、私の撮影行為も変革したいと思います。
そして、それが、閉塞した日常を突き抜ける行為になることを信じて。

_2003.10.4