視的生活
-055-
十三東

京都・北野

梅田

以下の文章は4月7日に書いたものだ。
アップの準備をしているところに「人質事件」が起こった。
日本政府自身が「分からない」を連発する中で、「救出」に対する日本人の反応もまちまちだ。被害者家族に対する嫌がらせや誹謗・中傷も目立ってきた。政府や役人、一部のマスコミもそういう「意見」を助長するような発言を繰り返している。
アメリカでは既に、この戦争を問い直す動きがマスコミにも出てきたようだが、日本では、今回の事件にのみ意識が集中されるなかで、憲法や自衛隊派兵が孕む問題は、「理想的」に圧殺されつつあるように見える。
たとえ、今回人質になった3人が「極左」であろうと「狂言」であろうと、この戦争と英米の企図の本質、政府の失態を見失ってはならないと思う。

梅田に出る機会があったので、“DAYS JAPAN 創刊号”と“THE BIG ISSUE JAPAN 第7号”を買ってきた。
どちらの雑誌も「社会的諸関係の総体」を認識しない人にとっては、単に「辛気臭い」メディアかも知れないが、前者の編集長、フォト・ジャーナリスト広河隆一曰く「加害者は都合の悪いことを必ず隠そうとします。報道管制が敷かれているところや立ち入り禁止の場所ではいつも何かが起こっているんです」(“THE BIG ISSUE JAPAN 第6号”)は、ドメスティック・バイオレンスやいじめについても言えることだと思う。
後者“THE BIG ISSUE JAPAN”は販売価格200円のうちの110円が販売人である“ホームレス”の人達の収入になる。その横では新たなホームレスが生み出され排除されているのも事実、明日は我が身、という危機感もあり、悲しくなるほどの微力ながら毎号入手している。
株価や景気動向指数の上下も重要かも知れないが、己の周辺の状況を知るオルターナティブ・メディアとしてももっと注目されていいと思う。

今回の「人質事件」について、政府は「取材に応じない」らしい。

_2004.4.14

追記

ともかく、全員が無事に解放されたことは喜びにたえない。
が、「自己責任」や「渡航制限」などという言葉が駆け回っている。
不快極まりない。

即時撤退を!