視的生活
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西三国

西三国

東三国

大津

新高

もう10日ほど前になるが、久しぶりに映画館に行った。
いったい何年ぶり、否、何十年ぶりと言った方が実感に近いかも知れない。
映画を見ていないというわけではないが、たいていはレンタル・ビデオかDVDを家でダラけた姿勢で見ている。映画館に入ったのは、2001年の京都映画祭で記録写真を撮っていた時以来で、それ以前の何年もの間と、それ以降の2年間、映画館には行っていない。

映画『きわめてよいふうけい』は、リトルモアのサイトによれば、
「これはドキュメンタリーではない。
あるひとりの写真家を見つめた<ポートレイトムービー>である。」
というふうに紹介されている。
シーンとしては、6月に発売された同名の写真集と同様の「風景」が多いのだが、森山大道が中平を語ったり、中平卓馬自身がポートフォリオのページを繰りながら説明してくれる、というよりは、呟いているのを見る、聞くだけでも、この映画への評価とは別のところで、1フリークとしてうれしいかぎりだし、ラスト近く、自転車を漕ぐ中平卓馬は実ににチャーミングだ。

「きわめてよいふうけい」とは、中平卓馬がショートホープの箱に書いたことば(そしてこれが、写真集の表紙)だが、中平卓馬の最近の写真こそが、きわめてよいふうけいであり、それとは異なる視線、感性のホンマタカシが、「中平卓馬の周辺」で見ている、また、見せてくれるのも、きわめてよいふうけいである。
きわめてよいふうけいは、イベントや作り事の中に存在するのではない。

_2004.12.14